年々増えている子供の偏食。ここ最近保育園での個人面談で1番多い悩みがこれです。
「なんで食べてくれないの?」
「作り方に問題があるの?」
しかし、偏食は立派な成長過程の一つであり、自然なことなので決してお母さんお父さんの責任ではありません。この記事では、現役保育士がたくさんの偏食の子供や保護者の悩みを聞いてきた中で導き出した答えをお伝えします。
偏食ってなあに?
偏食とは、特定の食べ物だけを食べ、他の食べ物を拒むこと。つまり好き嫌いが非常に激しいことをいいます。子供だけでなく大人にも当てはまるものです。
肉や魚はタンパク質、野菜はミネラルやビタミン、ごはんや根菜類は炭水化物などそれぞれに大切な栄養素が備わっているので、偏食がひどいともちろん成長に必要な栄養バランスが偏り不足しやすくなり、健康問題に発展することもあります。
偏食になる子の特徴・原因
過去のトラウマ
以前食べたものが嫌でそれがトラウマとなり、食べることを拒絶することがあります。これは、食べものだけでなく見たものや経験なども悪い記憶として残ると特定の食べ物を拒むこともあります。
イヤイヤ期・こだわりの強さ
新しい食材の見た目や触り心地、食感などにも敏感で試すことすら嫌がる子もいます。
また、2〜3歳頃から始まるイヤイヤ期では「好きなものだけ食べたい」「これはイヤだから一口も食べたくない」と自己主張が強くなり偏食になりやすい時期でもあります。
この時期は無理やり食べさせようとしてももちろん食べませんし、泣いてイヤな気持ちで終わってしまうのでイヤと主張している食材は避けつつ適度に食べる機会を作ると良いでしょう。
発達障害 感覚過敏や口腔機能
自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ASHD)の子供は、においや味など特定の感覚に過敏なケースもあります。これは、普通の好き嫌いとは異なり、特定の食べ物を口に入れることもできないほどです。
また、食べものを噛んだり飲み込んだりする口腔機能の発達がゆっくりでうまく食べられないこともあります。
当事者にとっては食べたくても食べられないものが多く、食事でのストレスを感じやすいので、無理に食べさせないよう工夫しながら対応することが必要です。
対策
どうしたら偏食は治るの?
いくつか対策をお伝えしますが、前提として偏食はダメということではありません。
無理やり食べさせられることでかえってトラウマになることもあるので注意してくださいね。
①調理方法を変えて警戒心を解いてみる
お野菜が苦手な子供は多いと思います。その原因は苦味やえぐみ、舌触り。これを解決するのが調理方法です。クタクタになるまで炒めたり湯通ししたりすることであら不思議!食べることもあるのです。また、ご存知の方も多いと思いますが、子供が好きなメニュー、たとえばハンバーグやコロッケにレンコンやニンジン、ごぼうなどを忍ばせるのも効果的ですよ。食べ終わった後に「実は⚪︎⚪︎入ってたんだよ!食べれたね、すごいね!」と褒めてあげると食べられて嬉しい経験につながるのでおすすめです。
②お母さんお父さんの肩の力を抜いてみる
本当にそれを食べられないと命に関わるのか?成長曲線が著しく下がっているようでしたら真剣に考える必要がありますが、そうでなければ考えすぎず肩の力を抜いて子供と関わってみてください。また、保育園や幼稚園に預けている保護者の方だったら、先生に相談してみるのも一つ。園ではお友達の影響や刺激を受けて食べているという姿もよくある光景なので、そういう場合は栄養ある食事は園に頼る、でもいいと思います。
いつでも相談してくださいね!
ただし、いつまでも偏食に無関心だったり好きなものを好きなだけ何も考えずに与えるのはよくないのでおうちでも機会を作ってあげて園と2人3脚で進めていくことが大切です。
③サイクルで献立を考えてみる
一生懸命献立を考えて作って出したのに、「キライ!」と食べなくてさらにお皿をひっくり返されたりしたらもうため息。また同じのを出そうという気持ちにはならない方も多いと思います。しかし、2週間後に同じものを出してみたり、繰り返し繰り返し出していたら“見たことある”と抵抗感なく食べることもあるものです。これは実際保育園でも頻繁にある姿ですので献立を考えてみてくださいね。
④食育に取り組んでみる
子供と一緒に料理をしたり(見せるだけでも◎)一緒に野菜を育てたりすることで、苦手だった食材にも愛着が湧き、食べてくれることもあります。また、「サペーレ」という教育方法が今フィンランドやスウェーデンで話題になっています。このプログラムは、子どもたちの五感を刺激しながら食べ物に対する興味や好奇心を育むものです。子どもたちに目隠しをして果物の香りを当てるゲームや、手触りだけで野菜を当てるなど、遊びの中で食材と直接触れ合うことで食への関心が高まるというのです。そして、楽しい雰囲気の中だとさらに美味しく感じる「気分一致効果」という心理学の観点からも認められているのです。
まとめ
子供の偏食は栄養バランスも気になりますし、少しでもいいものを食べて健康でいてほしいものですよね。子供のためにそう考えているお母さんお父さんはとても素敵です。しかし、時期がくればなおることも多いので、焦らず長い目で考えていくといいと思います。「食べさせなければいけない」と思えば思うほど親も子供も食事の時間が苦しくなってしまうものです。“家族揃って楽しい雰囲気で食事する”これを何よりも1番に考えてみてくださいね!
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